鴨沢プロジェクト始動 -空き家対策活動-

東京都と接する私たちの住む丹波山村の中で最も東にある集落 鴨沢地区。県境である鴨沢橋を渡ったすぐのところにある三角地に小さな建物があります。現在この建物は村の所有になっており、空き家になってからすでに30年余りの月日がたっています。建物壁はひび割れ、屋上は苔むし、入口の窓ガラスが割れ、お世辞にもきれいな建物とは言えません。この建物に限らず丹波山村では同様の空き家が散見しています。

空き家対策は村の長年の問題であり、今後解決していかなければならない重要な課題の一つです。そこには所有者の意思、相続に関する煩雑な法体制、修繕の予算も含め様々な障壁が立ちはだかっています。現状、その一つ一つをクリアーしてようやく空き家の改修に取り組めるわけです。

6月に地域おこし協力隊として丹波山村にやってきた山本 菜々子さんは、大学に在籍していたころから丹波山村を訪れ、空き家問題に取り組むことを考えていました。協力隊員となった彼女が先頭に立って始めたのが、この鴨沢プロジェクトです。「ようこそ丹波山村」の看板をくぐって一軒目の建物を空き家ではなく、新しい村の顔として蘇らせたいと考えています。

実際に残置物を取り除く

何に使うか、どう修繕するかは先にして、先ずは空き家に残る残置物を取り除きました。どんな立派なアイディアや計画があっても実行しなければ意味がありません。実際に人が動き、行動することの大切さを山本さんは知っています。空き家改修において第一段階の障壁をクリアーすべく、恩師で一級建築士の本多健氏らや地域おこし協力隊員、梅鉢不動産の方々と共に残置物を処理しました。

これからこの建物をどう活用するか?

山本さんは、これまで鴨沢地区に幾度となく足を運び、地区の空き家状況や地域の住民と会う機会を持ち、鴨沢の現状や歴史、これからどんな地区になって欲しいかなどを話し合っています。三角地の空き家をどう活用するのか、地域にとってどのような施設にすることが良いのかを検討しています。

現状、何の施設になるかは決まっていません。このプロジェクトは、三角地の空き家再生をゴールとしていません。その先にある地域の活性に繋がる試金石を作ることが目的です。

鴨沢地区は目の前にある小河内ダムと大きな繋がりを持っています。本来の鴨沢地区はダムの底に沈み、ダム建設によって作られた国道411号線の丘側に移転しました。30年前の写真をみると多くの子供がお祭りに参加し、若者が酒を酌み交わす日常がありました。当時と全く同じ景色を取り戻せるかは難しいかもしれません。しかし、若者たちが新たな可能性を模索し、地域の未来に向けて努力を続けています。丹波山村は、過去の歴史を大切にしながらも、新しい活力を見出すことで再生に向けた取り組みを進めています。