誰でもウェルカムな伝統行事。巨大な「お松様」が繋ぐ、村と外の人の絆
2026.01.29Thu

家々の松飾りが巨大な神様に!?「お松曳」で迎える丹波山の正月
丹波山村に移住して迎えるお正月も、今年で3回目となりました。
静かな山あいの村で、季節の移ろいや伝統行事の重みを肌で感じる日々。 今回は、丹波山村で私が最も楽しみにしている伝統行事「お松曳(おまつひき)」の様子をお届けします。 実はこのお祭り、誰でも飛び入り参加可能な、とってもオープンな行事です。

村中の「門松」が合体!?巨大な「お松様」の正体
1月、澄み切った冬空の下、村のメインストリートに現れる巨大な「お松様」。 竹と松で作られたやぐらのような御神体で、正面には今年の干支「馬」の飾りが誇らしげに飾られていました。
この迫力満点の緑の塊、実は村の家々から集められた「松飾り」や「門松」を利用して作られています。 各家庭でお正月を祝った松を一つに集め、巨大な「お松様」として組み上げる。つまり、このお松様には村全体の祈りや願いがギュッと凝縮されているわけです。
そして、この「お松曳」は単なるお祭りではありません。この巨大なお松様を曳き回すことで、新しい年の幸せをもたらしてくれる「年神様(としがみさま)」をお迎えするという、とても神聖で大切な行事でもあります。文化庁の「記録作成等の措置を講ずべき無形の無形民俗文化財」にも選定されています。1月7日に開催されるのが習わしでしたが、2025年から1月の第2土曜日に開催されるようになりました。

観光客も大歓迎!みんなで引っぱる「お松様」
この行事の醍醐味は、年神様をお乗せするこの巨大なお松様を、「その場にいる全員の力で曳く」こと。 参加資格は一切なし! 「せっかくだから曳いていきなよ!」 地元の方の威勢のいい声に誘われて、観光で訪れた方や、たまたま通りかかった方々も、遠慮がちに、でも楽しそうに綱の列に加わっていました。
一本の綱から始まる、村との縁
「ヨイサ!ヨイサ!」 道に響き渡る掛け声とともに、村の人も、今日初めて会った村外の人も、みんなで綱を握りしめます。
重たいお松様を動かすには、一人でも多くの手が必要です。 だからこそ、ここでは「村の人」と「外の人」という垣根がありません。 一緒に汗をかき、重さを分かち合い、お松様が動いた瞬間の喜びを共有する。ただ綱を曳くだけの行為が、不思議と心の距離をぐっと縮めてくれるんです。
この一体感こそが、丹波山村の最大の魅力かもしれません。

お祭り体験が「移住」への入り口に
沿道から笑顔と一緒にお餅やミカンが降ってくる「福まき」や、つきたてのお餅が振る舞われる賑やかな風景。こうした温かい歓迎を受け、「観光で来たつもりが、村の人たちの人柄に惚れ込んでしまった」という声もよく聞きます。 実際、こうしたお祭りでの交流をきっかけに村に通うようになり、やがて移住を決めたという仲間も少なくありません。
お松曳の綱は、人と村とのご縁を引き寄せる綱とも言えるかもしれません。
2026年、新しい一歩を丹波山村で
役場には村の公式マスコットキャラクター「タバスキー」も登場し、訪れた人たちを歓迎していました。
移住してきた当初は知り合いも少なかった私ですが、こうして同じ綱を曳き、笑い合うことで、少しずつ村の「仲間」として受け入れられてきました。 都会にはない不便さはありますが、それを補って余りある「人の温もり」と「濃い繋がり」がここにはあります。
もし「田舎暮らし」や「移住」に少しでも興味があるなら、まずはこうした行事にふらっと遊びに来てみませんか? 私たちが全力で曳く綱の先には、まだ見ぬ新しい仲間との出会いが待っています。来年はぜひ、あなたもその手を貸してください!

