TURNS LOCAL COLLEGE in 丹波山村 実施レポート
2025.10.10Fri
若者が地域課題に挑む実践型研修プログラム「ローカレ」
令和7年9月1日から14日までの2週間、丹波山村でTURNS LOCAL COLLEGE(通称:ローカレ)が開催されました。丹波山村での開催は昨年に続き2回目。今年は、全国から集まった18~22歳の大学生が、地域の事業者や関係者と協力し、村が抱える課題の解決に向けた新たなビジネスプランの企画・提案に取り組みました。

4チームで課題に挑戦 ローカレOGがコーディネーターに
初日の9月1日には、キックオフミーティングで参加者一人ひとりに木下村長から任命状が手渡されました。前日にはTABA CAFEで歓迎会が開かれ、学生たちと村内の関係者の顔合わせが行われました。食事を囲みながら、これからどんな2週間になるのか、お互いに期待の込もった表情をしていました。
今回のローカレは前回と異なり、学生たちが現地入りしてから、4つの選択肢から取り組む課題のテーマを選びました。1チーム3~4人の編成で、以下の4チームに分かれました。
1. すべり台チーム
2. ツリーランバー(林業)チーム
3. 観光推進機構チーム
4. 麦芽粕チーム
今回のローカレの企画に中心となって携わったのは、昨年のローカレの参加者で、大学を卒業後、丹波山村へ地域おこし協力隊として移住した内田唯さん。内田さんはローカレの先輩として、参加者と地域の人をつなぐコーディネーター役を務めました。また、現役の地域おこし協力隊員である私(筆者)も、麦芽粕チームのアップサイクル商品開発の企画をサポートさせていただきました。
2日目には「丹波山学」と題した村の概要説明を受け、午後には空き家の残置物の片づけを通じて村の課題を体感しました。
麦芽粕チームは、オリエンテーリングで村内の施設や周辺環境を視察し、多摩川の源流である丹波川の美しさを見て回りました。彼らが取り組む、麦芽粕が得られるクラフトビール造りにおいて欠かせない水が、いかにして育まれているかを知ってほ欲しかったからです。その後、丹波山村の鴨沢地区にあるクラフトビール醸造所「ウルブス ブリューイング」を訪れ、製品化に向けたヒントとなるお話を聞かせてもらいました。

中間発表で明らかになった「現場感覚」の足りなさ
プログラム開始から6日目には、中間発表が村役場で行われました。各チームが約1週間で考えた企画の概要を説明し、今後の修正点を探る場です。この段階ではデータの不足や根拠の薄いプランが散見され、発表を聞いていた事業者や役場職員からは厳しい指摘がなされました。
特に、資料作成におけるAIの活用が目立ちましたが、現場でのリサーチや地域の人へのヒアリングといった、事業立ち上げに不可欠な「現場感覚」の不足が浮き彫りになりました。寝食を惜しんで中間発表に臨んだ学生たちは落胆した表情でしたが、
発表直後に、各チームはミーティングを行い、学生たちはこの厳しい意見を糧にテーマへの取り組みを見直したり、仔細なデータの採り方を検討したりするなど改善方法を模索し始めました。
悔しさをバネに…終盤の精力的な活動で追い込み
企画から離れて自由な時間を過ごす休息日を挟み、学生たちは村内でのリサーチや村民との交流、試作品の製造・テストといった活動に精力的に動き出しました。
特に麦芽粕チームは、提供されたサンプルをミキサーで粉砕して実際に食べてみたり、他のメンバーの食事にも混ぜてみて違和感がないかを探るなどのテストを行ったほか、村内で草木染をされている方から製造方法を学んだりと、多角的なアプローチも見られました。また、資源の調達先を村内だけに拘らず、隣の小菅村にも足を運び、クラフトビール工場を見学するなどしました。

学生たちの頑張りを応援するため、私も、彼らの滞在拠点である交流促進センターの職員の方と一緒に、圧力鍋で柔らかくした鹿肉を大量に使った鹿肉カレーを振る舞いました。
地域の人たちのサポートも受けながら、各チームが最終プレゼンテーションに向けて苦労しながらプランを練り上げている姿は、若さと情熱に溢れていました。このような経験を学生の頃に出来ることを羨ましく思いながら見守っていました。

全てを出し切った最終プレゼンで得られた達成感
最終日の14日、各チームは再び村役場の大会議室に集まり、出せる力の全てを尽くして発表をしました。テーマの決定からプランの提案までわずか2週間という短い期間で、苦戦した様子も伺えましたが、中間発表時の内容からは確実に磨き上げられたものでした。

所縁のない丹波山村という地で、ゼロからビジネスの種を見つけ、育て、形にする作業は容易ではありません。しかし、このプログラムを通じて、学生たちはその難しさを知り、「実現可能な事業を残す」という目標に向けて真剣に地域と向き合う貴重な経験を得ました。これこそが、何物にも代えがたい2週間の成果だと思います。
激戦の末、優勝したのは麦芽粕チームでした。おめでとうございます。
丹波山という小さな村に全国から集まり、地域課題の解決につながるビジネスプランを提案するという、大きなテーマに本気で挑んだすべての学生の皆さん、本当にお疲れ様でした。
厳しい意見を受けながらも、それを乗り越えて前に進む皆さんの姿は、未来を担う若き世代の底力を見せてくれました。この丹波山村で得た経験、地域の人たちとの出会い、そしてチームで苦楽を共にした時間は、必ず皆さんの今後の人生において大きな財産となるはずです。
課題に取り組む過程で感じたもどかしさ、厳しさ、そして達成感の全てが、皆さんをさらに成長させる糧となることを心から願っています。
これからも、丹波山村の地で得た「熱量」と「現場主義」を忘れず、それぞれの場所で大きく羽ばたいてください。皆さんの輝かしい未来を心から応援しています。